かもがわ総研

ex機械メーカー→商社で勤務。読書感想や日常で気づいたことやを綴っています。タイトルのかもがわは、京都の鴨川のことです。

台湾の思い出

先日大学時代に一緒に台湾に行った女友達が台湾人男性と結婚したというポストをFBで見て懐かしい思いがした。


ぼくと台湾の出会いは大学の短期留学プログラムに参加したことから始まる。

ぼくは第二外国語として中国語を選択していて、年度末の終わりに先生から台湾のプログラムに人が集まらなくて中止になりそうだから参加してくれないかと頼まれた。

当時は旧民主党政権下で円高になっていたので安い費用で済むだろうという軽い気持ちで引き受けた。4週間で半分は台北の大学の学生寮、もう半分は一般家庭にホームステイで10万強くらいしかかからなかったと記憶している。

人数はぼくを含めて5人しかいなかった。本当によく中止にならなかったなと思う。出発は期末テストが終わって翌日くらいの出発だったと思う。

この日が初対面だったので初日はみんなで夜ご飯を食べに行ったらその夜(授業が始まる前日)、ぼく以外の全員が下痢嘔吐を催し、初日の授業はぼく一人のみ。結果的にマンツーマンレッスンになり先生は爆笑していた。


ほかのメンバーはみんな個性的で中国語はまったく話せないので、授業中だけでなく街に出かけるときもぼくが通訳を買って出た(ぼく自身もそれほど話せるわけではないが)。
ぶっちゃけ台北の大学で受けた授業よりもみんなの通訳係が一番中国語の経験値がたまったと思う。

主要観光スポットへの道を尋ねたり、タピオカミルクティのカスタム注文(味、氷の量、甘さなど)、夜市で買った偽ブランド品の返品交渉、イケメン現地大学生の逆ナン(の通訳)など思い出しただけで濃い思い出がよみがえってくる。

返品交渉のときなんかは中国語でブチ切れられたらソッコーで逃げようなと話し合わせていて、手からいやな汗がどっと出てきたことは忘れられない。ブロークンの中国語でよくこんなことやろうと思えたもんだ。最近こんな濃い体験していない。


個人的に台湾のことで忘れられない思い出はふたつあって、

一つが台北101に観光しに行ったときにみんなとはぐれてしまって途方に暮れていたとき、台湾人のおじいさんに助けてもらった。外国人としてはうまい日本語だと思ったので、日本語上手なんですねとお礼とともに言ったところ、「昔は私も日本人だったんですよ」と返ってきた。

そのときぼくは何のことかわからず中途半端な返事をして別れた。このときは日本と台湾のことを何も知らなかった。寮に戻ってから自分の無知を恥じた。このときから日台の歴史も勉強しようと思った。


もうひとつは、台湾滞在中に東日本大震災が起こったことだった。そういえばもうすぐ3.11が近い。もう8年も経ったことがにわかには信じられない。東日本大震災をきっかけに人生を見つめなおした人は多い。あまりに簡単に人が死ぬところを目の当たりにして命の儚さを知り、後悔ないように生きねばと思うのだ。社会人1年目の夏休みにタイのバンコクを訪れたが、日本人ホステルのオーナーは震災後にタイに移住していたが、移住の決め手になったのはやはり震災で、やりたいことは今やらないとと思ったそうだ。ぼくは当時東北地方には知り合いはいなかったので特段心配はなかったが、テレビモニターで繰り返し映し出された、仙台空港が真っ黒い津波に飲まれていくシーンは衝撃的だった。


さらに驚かされたのは被災した日本に対する台湾人の行動だった。地震発生後、即座に日本を支援するためのチャリティがいくつもできていった。中国語の先生にも、現地の学生にも、ぼくが日本人だとわかるやいなや「日本加油(日本がんばれよ!)」心強い応援の言葉をいただいた。ぼくは日本のことを思う台湾の人の多さに心を打たれた。その後台南でも地震が発生したときはその時のお返しを、と日本で立ち上がった人たちがいた。ぼくは台湾に対してまだ大したお礼はできないけれど、感謝の念は持ち続け
たい。

 

前職の先輩に、ぼくが退職するときに「まだ何もお世話になった恩返しできていないのにすみません」と言ったところ、「恩なんか返さなくていい。その代わりお前の目の前に助けを必要としている人がいたら助けてやれ」と言われた。

数年前に台湾旅行に行ったときにたまたま行きのフライトで隣の席に座っていた女の子と意気投合して仲良くなって今でも時々遊びに行く間柄だ。去年はその子の転職活動や家探しにも率先して協力している。案外、人とのご縁というのはこうして繋がっていくものなのかもしれない。

ユニークな京都企業をざっと調べてみた

newspicks.com

 

NewsPicksの特集で京都企業の特集が始まっていて興味深 く見ている。京都企業がこのように特集されるのは何もこれが初めてではない。 以前にも似たような特集は組まれていてそれにも目を通したことは ある。

でも数年たてば産業の情勢は簡単に変わってしまうので、 同じ企業でも数年前と比べてどんな分野に注力しているのか、 さらにこれから中長期的にどんなことに投資をしていくのか? ということを考えながら読むと味わい深い。

ぼくが大学時代を過ごした京都は業界的にけっこう偏っていると思っていて、 主としてエレクトロニクス企業が集積している。

例えばNPの特集でも取り上げられている村田製作所日本電産、京セラ、ロームオムロン堀場製作所島津製作所、SCREEN、日写、 村田機械GSユアサ任天堂など高い市場シェアを握っている企業が多い。

自分自身も就活時には関西に残ることしか考えていなかったので、 もちろん京都の企業も受けていた。 エレクトロニクス業界では名の知れた企業たちであるため、 どの企業も競争率は高い。

上記のほとんどの企業の社長も京都大学もしくは関関同立を卒業しているので、地元色が強い。個別に京都の企業を見ていきたい。

 

村田製作所

・製造業

・主力製品→コンデンサ

・売上/純利益→1兆3700億円/1,460億円(2018年 3月期)

・社長

村田 恒夫代表取締役社長

京都府出身67歳。同志社大学経済学部卒業後に村田製作所入社。ドイツ現地法人社長などを経て2007年代表取締役社長に就任。

・特徴

電子部品メーカーとして、日本のみならず世界を代表する最大手格。iPhone向けのコンデンサを出がけており、海外売上高比率は92%と極めて高い。 京都のエレクトロニクス企業と言えばまずこの会社の名前が上がる だろう。京都の大学生でも就職活動では大人気の企業でもある。 最近ではスマホ部品の需要を捉えて売上高を大幅に伸ばしているが 、一方で5G次世代通信や車の自動運転技術などにいち早く投資を 進めていて、車載向けではすでに世界シェアの過半を占めており、 直近の業績は盤石と思われる。

 

日本電産

・製造業

・主力製品→各種モーター

・売上/純利益→1兆4880億円/1,310億円(2018年 3月期)

・社長

永守重信代表取締役会長兼CEO( 社長は吉本浩之代表取締役社長執行役員

・特徴

村田製作所と同じくオーナー企業だが、 創業者である永守会長が今も健在で陣頭指揮を執っている。 ぼくも前職で新卒のころ日本電産から転職してきた人と同期入社と なり研修中に色々と話したが、「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」という社訓や、 休みが欲しければ会社を辞めろというモーレツな社風は事実らしい 。 古き良き日本のサラリーマン像を体現する会社でどの競合他社より も長く働くことで成長してきたが、最近はその方針を永守会長自身が転換しにかかっている。より効率的に働き少ない労働時間で成果を出せるような仕組み作りに取り組んでいる。 オーナー企業の一番のメリットはここだと思う。 環境の変化に応じてトップダウンで会社が進む向きを変えることが できる。 もちろんトップには先見の明が備わっていることが前提となるが。

産業機械や家電など社会のあらゆるところに同社のモーターが設備 されているが、最近では自動車の電動化により巨大なマーケットが開けてきており 、株価も2017年以降非常に高い水準で推移している。( 米中貿易摩擦の影響を織り込み4Qは同業他社に先駆けて下方修正 しているが)

同社だけでなく、 ソフトバンクファーストリテイリングなど強烈なカリスマを持つ 会社には、 そのトップが退任した後も成長し続けられるのかというオーナーリスクが付きまとう。そのため日本電産も後継者探しに着手している。 昨年代表取締役社長に就任した吉本社長は元双日の商社マン。双日カルソニックカンセイで自動車部品の経験を積んだ後に日本電産グ ループに入社。 赤字の子会社を立て直したことで本体取締役副社長に昇格しており 、永守会長の信用は厚い。

 

京セラ

・製造業

・主力製品→セラミック、電子部品

・売上/純利益→1兆5770億円/817億円(2018年3月 期)

・社長→谷本代表取締役社長

・特徴

京セラの創業者稲盛和夫会長も永守会長に負けず劣らず有名人だ。 京セラだけでなくKDDIau)の創業者でもあるし、 最近だと日本航空会長に無報酬で就任している。 パナソニック創業者の松下幸之助に影響を受けており、 アメーバ経営など画期的なマネジメント方法を編み出し、 稲盛会長の書いた著書は日本だけでなく中国でも翻訳され数多く販 売されている。IRを改めて見てみると自動車部品、半導体部品、 電子デバイス、通信事業、 複合機などそれぞれのセグメントがまんべんなく利益を上げていて穴がない。

 

ローム(LOHM)

・製造業

・主力製品→カスタムLSI半導体集積回路

・売上/純利益→3,970億円/372億円(2018年3月期 )

・社長→藤原 忠信代表取締役社長

宮崎県出身、関東学院大学文学部卒業。一貫して営業畑を歩む。 ロームは初代、二代目ともに立命館大学出身者であったため、 藤原社長は初の京都以外の大学の社長となる。

・特徴

出ましたみんな大好きロームさん。 冬の期間右京区にある本社を解放して大規模なイルミネーションを 開催していて、 京都市内の大学生はデートにはうってつけの場所でした。 そんなロームは顔採用で有名な会社です。ロームには京都中のレベルの高い女性が集まってきます。

同社の製造するLSI集積回路) は市場を席巻するほどの高いシェアを握っており、 高い株価を維持している。

ここも車載機器やFAなど産業機械への拡販を進めているものの、 先期最も利益への寄与度が高かったのは、 ゲーム機向け半導体というから意外だ。 既出の最大手格の企業と比較すると小規模な売上だが、純利益率は 10%弱あり、製造業としては優秀であると言える。

 

オムロン

・製造業

・主力製品→FA制御機器、医療機器

・売上/純利益→8,600億円/834億円(2018年3月期 )

・社長→山田義仁代表取締役社長CEO

山田社長は大阪出身、同志社大学経済学部卒業の関西人。 一貫して医療機器畑を歩み、オムロンヘルスケア社長などを経て4 9歳の若さでオムロン本体の代表取締役社長に昇格した。

・特徴

JR京都駅前にオフィスを構えるリッチな企業。toCの事業とtoBの事業両方を持っており、コンシューマー向けでは血圧計などでよく知られている。 ビジネス向けではファクトリーオートメ―ション( 工場の自動化機器)で高いシェアを持つ。このFAシステム事業が 全売上の半分近くを稼ぎ出す。2018年度3Q以降米中貿易摩擦 の煽りで主要マーケットである中国での投資意欲が減速しており、 見通しは不透明だが米中の対立が落ち着けば一気に回復すると読ん でいる模様。

余談だが創業期には、自動改札機やATMなどを開発したのも同社 であり世の中にないものを作り出すスピリットがある。 余談の余談でプリクラ機を手掛けるフリュー社も元々はオムロン社内ベンチャーだ。 ちなみに社名の由来は創業時の本社があった地名が「御室( おむろ)」だったことにちなんでいる。

 

堀場製作所

・製造業

・主力製品→排ガス検査機器など

・売上/純利益→1,953億円/162億円(2017年12月 期)

・社長→堀場厚

・特徴

数年前フォルクスワーゲンが燃費の不正検査で炎上したときに暗躍 したエンジン排ガス測定器を製造するメーカー。 排ガス測定器では世界シェア80%を占めている、 隠れたニッチトップ企業。 同社の飛躍のきっかけは米カリフォルニア州の検査基準でデファクトスタンダードを押さえたこととのことで、 ぶっちゃけこういう設備メーカーというのは、キーボードのキー配置や表計算ソフトなどユーザーに最初に受け入 れられたモン勝ちなところはある。 もちろん絶えず技術を磨いている成果であるとも言えるけど。

ここもオーナー企業で現社長は二代目になる。社是である「 おもしろおかしく」 なんてサラリーマン社長ではとても掲げられない。 ユニークな社風やダイナミックに事業の方向を転換できることがオ ーナー系企業の最大のメリットだと言える。

 

島津製作所

・製造業

・主力製品→成分検査機器

・売上/純利益→3,765億円/298億円(2017年3月期 )

・社長→上田 輝久代表取締役社長

・特徴

島津はノーベル化学賞を受賞した田中耕一氏が在籍する会社。 学士で唯一のノーベル化学賞受賞者、 かつ現役サラリーマンで史上初のノーベル賞受賞者らしい。187 5年創業の老舗中の老舗。明治時代が始まったばかりで、板垣退助自由民権運動を始めたり、江華島事件で朝鮮を開国させたりしていた時期だ。

事業は、主にアカデミック機関向けの分析機器が多いほか、自衛隊に航空機器も納入している。

ちなみに後述のGSユアサは同社の蓄電池工場が独立したもの。

 

SCREENホールディングス

・製造業

・主力製品→半導体ウエハ洗浄装置

・売上/純利益→3,393億円/285億円(2018年3月期 )

・社長→垣内 永次代表取締役社長CEO

・特徴

SCREENはエレクトロニクス産業の中でも半導体製造装置とい うフィールドにいる。 その半導体製造工程も前工程と後工程に分けられる。 前工程はざっくり成膜→露光→エッチング→ 不純物拡散という工程からなりウエハ加工工程とも呼ばれるが、S CREENはその中の洗浄機で卓越した技術を持っている。前工程においてシリコンウエハを成膜しては洗い、エッチングしては洗い、研磨しては洗いと全工程に占める洗浄の工程は意外と多い。不純物が混ざると品質の低下を招くので、半導体の品質すなわち洗浄装置の精度にかかっているとも言える。世界の半導体洗浄機市場においてSCREENは東京エレクトロンとシェアを二分する最大手格である。

 

村田機械

・製造業

・主力製品→繊維機械、工作機械、FAシステム

・売上/経常利益(2018年3月期)→2,530億円/324 億円

・社長→村田大介代表取締役社長

・特徴

今回挙げた京都企業の中では唯一の非上場を堅持している企業。 非上場にしている目的は意思決定の迅速化のためとのことで、 今後も上場する意向はないらしい。現社長は一橋大→ スタンフォードMBA

同社も複数の事業部を持っていて、 昔は合成繊維を巻き取るワインダーやツイスターという繊維機械を 開発した企業。日本では繊維業は斜陽産業になってしまったが、インドや中国にメインマーケットを移して依然高いシェアを握って いる。事業別で最も大きい売上を占めるのが物流システム部門。半導体工場やFPD(フラットパネルディスプレイ) 向けのクリーンルーム対応の搬送システムが成長中。

 

GSユアサ

・製造業

・主力製品→バッテリー製品

・売上/純利益→4,100億円/114億円(2018年3月期 )

・社長→村尾 修代表取締役社長

・特徴

自動車用、産業用、バックアップ電源装置など幅広い用途のバッテリーを製造しているメーカー。バッテリーと一口に言っても色々な種類があるが、 鉛蓄電池を日本で初めて製造したほか、 リチウムイオン電池で国内トップのシェアを持つ自動車向けでは三菱自動車向けに車載バッテリーを供給しているほか、本田技研工業ともブルーエナジーという合弁企業を設立している。

そして平均年収がかなり高い。村田製作所や京セラが700万円台 、オムロンや島津が800万円台、SCREENが900万円台とメーカーにしては高い水準だが、GSユアサは1100万円台にのぼる。す、すごい。

 

そのほかの企業もユニーク

 

そのほかエレクトロニクス業界以外の大手企業というと、 世界に誇るゲーム企業任天堂が挙げられるし、化学業界ではSAP (高吸収性樹脂)のシェア大手である三洋化成工業もある。 同社は東レ豊田通商の関連会社となっており、総合商社の物流網を活用してSAPを世界に販売している。先日次世代電池として期待される全樹脂電池の実用化にも目途をつけ、10年後に1000億円の売上を目指すという。現在の連結売上が1600億円である同社からすると凄まじいイン パクトになるが、こうした大風呂敷が可能になるのも東レの技術支援や豊田通商の販売ネットワークや資金力といった後ろ盾があればこそだと思っている。

IT企業でははてなブログを運営するはてなも京都発祥の企業だ。このブログでお世話になっているので忘れずに挙げておいた。

東京の企業も京都にオフィスを設立する動きが始まっている。LINESansanサイバーエージェントといったIT企業も昨 年相次いで京都に開発拠点を開設した。

京都は道がコンパクトで住みやすい。 自転車があれば京都市内の一通りの主要な場所はほぼアクセスする ことができる。また京都は学生の街でもある。京都大学を筆頭に、 関関同立の一角である同志社大学立命館大学産近甲龍龍谷大学京都産業大学、さらに佛教大学京都造形芸術大学京都工芸繊維大学などの専門性に特化した大学もあるし京都女子大 学、 平安女学院大学などエアラインや銀行にかわいい女の子を供給する 女子大もある。

京都に進出する企業が狙っているのは優れたエンジニアのリクルー ティングが目的で、 学生数が多ければ優秀な学生にも巡り合いやすい。 京都にオフィスを置けば就活時にはそれだけ身近な企業になる。 自分自身、京都に住んでいたことがあるから言えることだが、 京都は若い人が多いし、家賃が安く(東京より40%くらい安いと いう感覚)、 四季によって表情を変える街並みが非常に魅力的なので、 ぼくもゆくゆくは京都に戻って暮らしたいと考えている。

 

中国のトレンドの変遷の早さについて

 

ワールドビジネスサテライトの今日の特集。

春節の爆買いを追跡するということで、本ツイートのリプ欄では「いつの話してんねん」と突っ込まれていましたが、普段から中国に業務で関わっていない限りは一般の人は知る由もないのかなと思っています。

 

toyokeizai.net

しかし、2015年ごろに全盛を誇ったラオックス銀座店が昨年8月にひっそりと閉店していたというニュースを見るまでもなく、中国人が日本に来て百貨店などのリアル店舗でモノを購入する数量は年々減少してきているというのが現状です。

その背景にあるのは越境ECです。越境ECというのはインターネット通販のインターナショナル版のことです。越境ECの登場によってわざわざ日本に来なくとも中国にいながら日本製品が売れるようになったからです。

日本に来て両手に持ちきれないほどの荷物抱えて街中を歩き回るのは大変なことは容易に想像がつきます。中国にいながら買えるようになるのであれば中国の消費者はそちらを選択するでしょう。

とはいえ、やっぱり日本で買ったものが信用できるという人も少なくないので、あくまでも日本の店舗で買いたいという意見も根強い。そこで近年は自分の分だけでなく、他人の分の買い物も代行してあげるというビジネス(代購)が普及してきます。日本に滞在している中国人留学生の貴重な収入源になったそうです。

中国人一人が友人など数人分の買い物を兼ねているため、化粧品などを販売する日本の百貨店の売上は彼らの購買意欲によって支えられてきました。

ところが、この状況をおもしろく見ていない人がいます。中国政府です。代購はかなりの規模の経済を動かしているにも関わらず、バイヤーの多くはハンドキャリー(かばんに詰め込む)で持ち込むため関税を課されることなく持ち帰ることができました。だからこそ安く買えてかつ代購者の利益も捻出できるのです。

翻って中国政府は人民がこれだけの物品を海外で購入し、国内に持ち帰ってきているのになんら税金を徴収することができずにいました。

そこで、ついにと言うべきか、中国政府は2019年1月1日から中国EC法を改正し、インターネットを活用して商品を販売する全ての者を対象に、営業許可の取得を義務付けたり、納税義務を課すという法律を施行しました。この法律は代購業者に大打撃となるという予想がされていましたが、果たしてどのような影響が出るのでしょうか。

今年の春節はこのEC法が始まってから最初の大きなイベントということで試金石のような位置付けになっています。大方の予想通り、インバウンドでの売上は大幅に下落していました。旅行者数は伸びており、旅行者は自身の買い物はするでしょうが、以前までは他人の分まで買い物をしていたのですから販売数量が落ちるのは当然のことです。

では日本企業はこのままインバウンド経済が縮小していくのを指を加えて見ているしかないのでしょうか?日本企業の中にはすでに越境ECに取り組んでいます。もともと化粧品や美容系の商品は、同じアジア人ということで肌に馴染みやすいという、欧米のブランドにはない利点があり、品質の高さのイメージもあいまってとても人気があります。インバウンドで売れなくとも越境ECで売れるのであれば、ぼくはむしろその方が日本企業にとってはメリットは大きいと思います。

その理由としては、単純に店舗を拡大する必要がないこと、また店舗に中国人対応のための人員を配置する必要もなくなることがあります。越境ECの場合では、商品はあらかじめコンテナで大量に保税倉庫まで送っておき、アリババやJDなどのプラットフォームの売場の中に中国語のサイトを作って売れれば倉庫から配送するだけです。

消費者はウェブサイトを見て買うようになるだけなので、コストを抑えながら売上を伸ばすことができるようになるでしょう。その分売れるためのマーケティングが重要になってきます。

商品の上手なアピールというと、日本企業は苦手なイメージがあり、欧米のラグジュアリーブランドや同じアジアの隣国である韓国などと競争していけるかというところです。

また近年は、もっと心配な懸念が頭をもたげてきているようですが。

newspicks.com

これまで日本ならではの高品質なトイレタリー・日用品のメーカーとして最大手企業として君臨している花王の中国での業績が伸び悩んでいます。

花王の主力商品の一つである紙おむつメリーズのシェアが中国の地場のメーカーの商品に追いつかれてきているのです。それだけ中国企業の技術力が上がってきているという証拠ですね。

実は衛生面については同じアジア人である日本人と中国人の間でも隔たりがあると思っていて、例えば中国人はハンカチは不衛生だと思っていてあまり使いたがりません。代わりに何を使うかと言うと、使い捨ての紙タオルのようなものを携帯しています。

これだけに限らず、朝洗顔したあと顔を拭くのも紙タオル(正確には不織布というのですが)を使用しており、一度タオルは使わないのですか?と中国人のエージェントに聞いたことがありますが、不潔ですし、洗濯する手間も省けて便利じゃないですかとのこと。

子供の数も多くおしりふきの消費量も非常に多いので、中国には不織布の製造機械がイケイケドンドンで設備されています。たくさん作っていればコストも下がりますし、ノウハウもおのずと蓄積されていきます。

こうなるとおそらく日本のメーカーはさらに技術開発に注力して中国を引き離そうなどと考えるかもしれませんが、それは良い手段ではないかもしれません。技術では遅かれ早かれ追いつかれてしまいます。産業に携わっている人数が違いますから。スペックを必要以上に上げていっても消費者には響きません。

それよりはこれまでになかった用途、ニーズを満たす商品づくりをしていくべきではと思います。

おむつという視点で見れば花王だけでなく、ユニチャームも心配ではあります。これからの動向を見守りたいですね。

台湾祭へ行ってきたけどスポンサーの意向が強すぎて笑った

2/9-2/11まで東京タワーの広場で開催されていた台湾祭へ行ってきた。

www.taiwanfesta.com

ぼくは二日目に行ってきたけど、初日がこの冬一番くらい寒さになって雪もたくさん降っていたので、初日に訪れる予定だった人たちも二日目にスライドしたのか入場からすごい列ができていて、会場入りするのに1時間待たされた。

入場待ちしている間もうめちゃくちゃに寒かったんだけど、小籠包とか牛肉麺が食べられると思えばなんとか耐えることができた。

入場料として500円払うとドリンク3杯無料、フードが6回まで100円引きになるクーポンを渡されて会場イン。

牛肉麺、葱油餅とか湯圓はほんとうにおいしくて台湾で過ごした日々を思い出させてくれる味ですごくよかったんだけれど、

運営の仕方が下手だなあと思ってしまった。。料理が本当に美味しかっただけに余計に際立ってしまった。

 

まずそもそも会場が狭かった。東京タワーの駐車場を借り切っているんだけど、来場者数の方が断然多い。

これは運営側も会場を決める段階でここまで人が来るとは思っていなかったんだろうね。人の多さにはぼくも驚いたのでこれについては仕方ないけれど。

第二に、フードを食べるスペースが全然なかったこと。よく外国のフェスが開催されている代々木公園の場合だと、ベンチとテーブルが設置される。もちろん来場者全員分は用意しきれないけど、空くのを待っていればそのうち座って食べることができる。

それができなければピクニックのような感じで座って食べることができる用意もできたと思うけど、会場にはそれも見られなかった。

結果、来場者は立ったまま食べざるを得ず、湯圓などの汁物は大変不便だ。何か対策できたのかなーと思えてしょうがない。

第三に、決済方法が現金払いオンリーだったこと。正直面倒臭いだけだと思うんだけど。。注文のたびに数百円もらって千円出されたらまた数百円おつり出してという作業を延々と繰り返すのって。現金って衛生的にも悪いしね。

お店のスタッフは支払いと料理のスタッフを分けることで対策していたけど、QRコード決済にしたらそのスタッフも料理する方に回れたのになーって思う。

日本ならLINE PAYやPAYPAYがあるし、カードリーダーとか付帯設備がいらないのがQRコード決済のメリットだったはずだ。本来的にはこういう台湾祭とかコミケとかいう場でこそ威力を発揮するものだと思っている。次回開催からはもっと工夫してもらえたらと期待している。

最後に、一番許せなかったことはフリードリンクとして提供されていたビールがキリンビールしか選べなかったこと!笑

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いや、笑いごとではない。台湾のお祭りに来ているのにも関わらず台湾ビールがないってどういうことやねんと思って調べてみたら、案の定協賛企業にキリンの文字。あーあって感じでした。企業の都合ゴリ押しやないかい。

そのほかにも舞台ではアイドルがパフォーマンスをしていたのだけど、どれも日本のアイドルばかりだった。台湾祭の趣旨とは?という感じだった。

※追記:二日目の午後はたまたま日本人のパフォーマンスが多い時間帯だった模様でした。訂正します。

台湾はぼくが中国語を初めてみっちり学んだ場所でもあり、個人的にも大好きだけれど、台湾祭の運営がこのていたらくでは次はもう行く気になれないかもしれない。

改善してくれればいいな。

外資系企業の日本法人の実態について調べてみた

kamogawaudrbrdg.hatenablog.com

 

先の投稿では外資系企業の日本法人の記事を書いてみた。そのついでに日本の外資系企業全体の状況についてはどうなっているんだろうとふと興味が湧いたので調べてみることにした。

調べればいろいろと便利なものが出てくるもので、経済産業省が日本国内にある外資系企業の統計を取ってくれている。最新のものが2016年度のものなのでいささか情報が古い感が否めないが、これで見てみることにしよう。

平成29年外資系企業動向調査

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/gaisikei/result/result_51/pdf/2017gaikyo.pdf

日本に進出している外資系企業は全部でおよそ3200社あり、地域別でもっとも多いのはヨーロッパ企業で1400社(約44%)ほどを占める。ヨーロッパは地域なので国別で比較すればアメリカが約770社でトップになる。

中国企業も全アジア企業826社のうち316社で38%を占めており、意外なほど多かった。百度やファーウェイなどは容易に想像がつくが、あとはどんな企業が続くのだろうか。

 

外資系企業の業種について

 

業種別で言うと、製造業はわずかに562社で20%に過ぎない。考えてみればこれも当然かもしれない。

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銀座や心斎橋に行けばヨーロッパのラグジュアリーブランドがズラリと並んでいるし、日本人はグッチ、ルイヴィトン、オメガ、ベルルッティディオール、コーチなどの欧州のブランド品が大好きだ。数えだしたらキリがない。

 

日本法人の所在地

 

日本法人の所在地として多かったのはもちろん東京都アメリカや中国と異なり、日本は何でも首都東京に集まっている構造になっている。アメリカでは金融はニューヨーク州に、ITならカリフォルニア州に、自動車産業ならミシガン州、政治が動くのはワシントンと分散している。

中国でも、北京は政治とハイテク系スタートアップ、上海は金融業、深圳は製造系スタートアップと貿易というふうに全土にバラけているのが特徴だ。ECのガリバーであるアリババは浙江省杭州に本社を構えている。

翻って日本では、東京にオフィスを構える会社が3217社中2167社で67%にのぼる。文字通り一極集中といった形だ。

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六本木:アップル、ナイキ、ゴールドマンサックス、マッキンゼーなど。コンシューマー向けを中心に知名度が抜群の企業が六本木ヒルズを中心に入居している。

渋谷:グーグル、コカ・コーラ、ロバートボッシュなど。流行の発信地、日本のテック系企業の集積地であるためか。

丸の内ボーイングPwCベライゾンBMWJPモルガンなど若干お堅めの企業群の印象。そのほかベイカー&マッケンジーなどの外資系法律事務所もほとんどすべてが丸の内か六本木に集中している。事務所の格が仕事に影響する証左だ。

赤坂:GE、グラクソスミスクラインシスコシステムズシマンテック、APモラーマースク、ローランドベルガーなど。洗練された企業という印象。

青山テスラモーターズ、オラクル、ネットフリックスなど。赤坂よりもスマートな企業という感じ。

大崎スターバックス、ABB、シーメンス、インフィニオンテクノロジーズ、プーマ、ダッソーシステムズなど。伝統ある大企業とおしゃれな企業が併存している。

品川マイクロソフト、3M、エクソンモービル、フィリップス、ASML、メルセデスベンツ天王洲アイル)、ヘンケルなど。大崎と同じような企業群。

虎ノ門:ウォルトディズニー、ポルシェ、ノバルティスファーマインターコンチネンタルホテルなど。キラキラ企業の極み。ハイソすぎる。

神奈川県:都心や空港、新幹線へのアクセスが優れている横浜のオフィスビルに入っている企業が多い。アディエント、ZF、コンチネンタル、シェフラー、オートリブなど自動車関連企業が多い。

関西:その下に大阪や兵庫が入ってくる。大阪にはアストラゼネカ、イーライリリー、バイエルなど製薬企業が多く、兵庫にはネスレ、P&Gの神戸本社があるのは有名だ。

 

日本法人を持つメリットについて 

 

日本法人を構えるメリットについての調査もある。所得水準が高く顧客ボリュームが大きいこと、インフラが整っていること、製品とサービスの流行に敏感であり新製品の競争力の検証ができること、がトップ3となっている。

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一方でデメリットも

 

反対に日本におけるビジネス阻害要因としては、ビジネスコストの高さ、人材確保の難しさ、日本市場の閉鎖性が挙げられた。

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ビジネスコストについては人件費が高いらしいというのは意外だ。日本はバブル崩壊後賃金はまったく上がっていないので。あとは英語をビジネスレベルで話せる人材は確かに少なそう。市場の閉鎖性は世界のどこにでもあるものだと思うけれど。

 

一般的な傾向として、アメリカ系企業はガシガシ仕事して年収も高く、欧州系企業は年収はなだらかだがワークライフバランスは安定しているというところだ。

また、デルなど日本でもたくさんの人を雇用している企業はオペレーションも日本企業っぽくなっているので外資に入ったはいいものの内実は日本企業とあまり変わらないという可能性もなくはない。

上記に挙げたのは大手企業だけなので日本に進出している中小規模、新興企業も数多い。

立ち上げ期の日本法人にジョインできれば組織が大きくなっていくのを肌で感じながら働くことができるし、大企業に入ったとしても日本で圧倒的なシェアを握っている競合がいて後発スタートで泥臭い営業をしなければならない場合もある。

いずれの場合にしても日本法人の従業員に求められているのは本社の人間にはできないザ日本人的な人間関係に入り込んでいくということには変わりはない。

外資系企業の日本法人で求められる役割について

とある外資系メーカーの日本法人の面接を受けてきた。

それなりに名の知れた企業であるため、 事業内容はけっこう入念に下調べをしていった。

そして身だしなみを重視されるということだったので、 前日に髪も切ったしスラックスもクリーニングに出しておいた 。

日系と外資両方の面接を受けていておもしろいなと思うのは、 日系の面接が「尋問」のように進んでいくのに対して、外資だと「雑談」のような雰囲気になることだ。

入社したあとにこんなはずではなかった、となるのは企業にとっても応募者にとっても不幸になるだけなので 、面接は企業の考え方を知ってもらうことを目的にしているとのこと。

そのためざっくばらんに給料や競合他社との状況など、採用の背景などガンガン聞かせてもらえた。

面接をしてくれたマネージャーの方はかなり頭が切れそうな印象を受けた。商社にも高学歴な方はたくさんいるが、理系の賢さに触れる機会はなかなかない。

よくいる博覧強記だけれどもコミュニケーションが苦手なタイプではなく、対人折衝能力も極めて高いオールラウンドな人だった。

 

高学歴な人に共通する(ように思われる)性質として、

・「帯に短し襷に長し」や「さもありなん」といったことわざや古語を会話に織り交ぜる。

・自分と異なるタイプの人間と話してもありのまま受け入れる(≒ 素直)

・クッション言葉を多用(「少し意地悪な聞き方をしますが、」「おっしゃることは理解しますが」「 少し質問を変えますが」など)

という点があるように思う。わりと話し方で違いが分かる。

普段関西弁コテコテの体育会系組織で揉まれている自分にとっては こちらのほうが居心地が圧倒的に良い。こんな上司がほしいと思った。

 

前置きはこれくらいにして、 途中から外資系企業の日本法人についての認識の話になった。

入社後にどのようなビジョンを持っているかという質問はどの会社 であってもほぼ100%の確率で聞かれるため事前に大枠くらいは 用意していたので、それを組み合わせて次のように答えた。

「日本市場での先兵として、シェアを高めるため日本の顧客のニーズを汲み取り本社へ積極的に 発信していく。 そして日本市場ならではの要望や事例をまとめ本社にとっての日本 法人のプレゼンスを高めていく。」

しかしこの回答は頭の切れる面接官には不満だったようだ。「 弊社内でもそういうマインドの方は多いんですけどね~」と前置きして、質問を重ねてきた。

「弊社内でも昔日本企業とジョイントベンチャー(合弁企業)を作って、双方の製品モジュールを組み合わせることであらゆる顧客の要望に 応えられる仕組みを整えたことがありました。 これは営業サイドからのかねてからの要望でもあったので。

果たしてこの合弁会社がスタートしたあと当社製品の売上はどうなったと思いますか?」

 

ぼくは答えに窮した。 今言ったばかりの日本法人の役割に一貫性を持たせるならば売上は 伸びたと答えるほかないからだ。

答えは案の定「売上は思ったほど伸びなかった」。

この失敗はマーケティングの面でも重要な示唆を与えてくれる。顧客の要望に応えたからと言って必ずしも受注に結び付くとは限らないからだ。

恋愛でも自分勝手なオラオラ系男がモテるのも同じ原理なのだろうか。いや、ちがうか。

ぼくは頭をフル回転させても何故そうなるのか分からなかった。そしてその合弁会社は数年前にひっそりと解散し社員はそれぞれの会社に戻っていった。

それを踏まえて、面接官が考える日本法人の役割というのはこうだ。「本社で作るグローバルスタンダードの製品を、なんとかしてそのまま日本の顧客に使ってもらうこと。

顧客の要望に合わせていちいち品番を増やしていてはそれだけ生産ラインを増やさなければならずコストが上がりキリがない。本社は各国から上がってくる要望などには耳を貸さない。

そうした制約の下で大手企業からシェアを奪っていかなければならないんです。」

結果的にぼくは面接官の考えと真逆の意見を述べてしまったわけだが、不思議とそれほど焦らなかった。

清々しいほどに間違えてしまい、そのことを理路整然と説明してもらえたので、もう取り繕う気にもなれなかった。

ここの会社は落とされるだろうが、後悔はしない。むしろこの経験を次に生かしていきたいと思った。

 

世界は広い。

 

日本法人の役割まとめ

・最重要ミッションは日本市場でのシェア拡大

・ただし本社は個別の要望には応えてくれない→ 生産コストが上がるから

・顧客からの要望に応えても受注とはならない

・ 日本法人は顧客からの要望に対してスペックを変えずになんとか応 える方法を考える

これ、ほぼ商社やん。笑

※ただし上記の内容は必ずしもすべての外資日本法人に当てはまらない。製造業だからそうなるのであって、徹頭徹尾顧客の要望に寄り添うことが最適解になる産業もあるもしれないことを付け加えておきたい。

貿易の仕事の中身はほぼトラブルシューティング

北米の寒波のせいで絶賛船遅れてて、対応にてんやわんや状態です。

 

www.nikkei.com

北米地域で記録的な寒波が来ている影響で物流に遅延が発生している。体感-53度とからしい、昨年末に中国天津で-10度を体感してきたけど、まったく想像がつかない。息できるのかな。

イリノイ州シカゴでは寒波からホームレスを守るべく自費でホテルを予約する有志ボランティアが賞賛を受けた報道などもあり、心がほっとするニュースも見られた一方で、異常気象となるとやっぱり真っ先に貨物の動きの心配をしてしまう。

 

北米の寒波に限らず、異常気象は世界各地で常態化している。季節が反対のオーストラリアでは熱波に襲われているらしく、46度まで気温が上がっていて、高すぎる気温による森林火災も発生している。オーストラリアからアメリカまで移動したら差引で100度近くもの気温差に晒されることになるので、ショック死してしまうんじゃないかな。

 

船を使う貿易が受ける影響は天候に限らなくて、例えば今なら中国が春節休暇に入っているので、その間はほとんどすべての中国の取引先と連絡が取れなくなる(みんな故郷に帰ってしまうので)し、中国から輸入している日本企業の場合だと休暇に入る前にたくさん買っておこうと考えるので、春節前の東京港は大混雑するのが毎年恒例の風物詩だ。

貨物は東京港まで来るには来るが、コンテナドレーというコンテナを引っ張るトラックが不足しており、港まで来ているのにも関わらずなかなかコンテナを取り出せなくなっている。その結果顧客の希望する納期に間に合わないという事態がそこかしこで起きている。

 

また昨年の夏には記録的な豪雨が西日本を襲ったことは覚えている方も多いと思うけど、それによって関西の物流の要となる関西国際空港が浸水し、さらにコントロールを失ったタンカーが関西空港と陸地を繋ぐ連絡橋に衝突し、一時的にほとんどの物流が麻痺した。

しばらくしてやや回復したが、そのわずかなキャパシティは生鮮食料品や医薬品など緊急度の高い貨物に優先的に割かれてしまい、産業資材などは普通に後回しにされた。そこからさらに行き場を失った貨物は中部国際空港や成田空港に回るので、関空での事故なのに日本中の空港が影響を受けることになった。このころは本当に緊急事態だったので物流部が全社的にリカバリーの進捗を毎日発信していた。

このほかにも中国は10月にも国慶節(建国記念日)で春節と同じくらいの大型休暇になるし、初夏には濃霧で港湾での業務がストップしやすい。要するに中国はリスクが大きい。(笑)

 

海外との貿易をやっているときは一事が万事こんな感じでトラブルが空から降ってくる。無事に荷物が着いた後も不良があればクレーム対応で客先に飛んで行くし、サプライヤーに再発防止策を書かせて日本語に訳してワードで仰々しく体裁を整えるし、それでもダメならシップバック(運んできた貨物をそのまま船で送り返す)したり。

シップバックはだれも得しないので欠点はあるけれども何とか量産に使ってもらう可能性を探ったり、スペックがマッチすれば他の顧客に売ったりする。

 

せっかく作った品物に文句をつけるのは誰もが気が引ける。だからこそ代わりに交渉の矢面に立ってくれる商社にメーカーはマージンを払うのだと思うと、理不尽な仕事の中にもやりがいは見つけられなくもない。