かもがわ総研

ベトナムでもがく中間管理職です。営業、マーケ、法務、採用なんでもやってます。

貿易の仕事の中身はほぼトラブルシューティング

北米の寒波のせいで絶賛船遅れてて、対応にてんやわんや状態です。

 

www.nikkei.com

北米地域で記録的な寒波が来ている影響で物流に遅延が発生している。体感-53度とからしい、昨年末に中国天津で-10度を体感してきたけど、まったく想像がつかない。息できるのかな。

イリノイ州シカゴでは寒波からホームレスを守るべく自費でホテルを予約する有志ボランティアが賞賛を受けた報道などもあり、心がほっとするニュースも見られた一方で、異常気象となるとやっぱり真っ先に貨物の動きの心配をしてしまう。

 

北米の寒波に限らず、異常気象は世界各地で常態化している。季節が反対のオーストラリアでは熱波に襲われているらしく、46度まで気温が上がっていて、高すぎる気温による森林火災も発生している。オーストラリアからアメリカまで移動したら差引で100度近くもの気温差に晒されることになるので、ショック死してしまうんじゃないかな。

 

船を使う貿易が受ける影響は天候に限らなくて、例えば今なら中国が春節休暇に入っているので、その間はほとんどすべての中国の取引先と連絡が取れなくなる(みんな故郷に帰ってしまうので)し、中国から輸入している日本企業の場合だと休暇に入る前にたくさん買っておこうと考えるので、春節前の東京港は大混雑するのが毎年恒例の風物詩だ。

貨物は東京港まで来るには来るが、コンテナドレーというコンテナを引っ張るトラックが不足しており、港まで来ているのにも関わらずなかなかコンテナを取り出せなくなっている。その結果顧客の希望する納期に間に合わないという事態がそこかしこで起きている。

 

また昨年の夏には記録的な豪雨が西日本を襲ったことは覚えている方も多いと思うけど、それによって関西の物流の要となる関西国際空港が浸水し、さらにコントロールを失ったタンカーが関西空港と陸地を繋ぐ連絡橋に衝突し、一時的にほとんどの物流が麻痺した。

しばらくしてやや回復したが、そのわずかなキャパシティは生鮮食料品や医薬品など緊急度の高い貨物に優先的に割かれてしまい、産業資材などは普通に後回しにされた。そこからさらに行き場を失った貨物は中部国際空港や成田空港に回るので、関空での事故なのに日本中の空港が影響を受けることになった。このころは本当に緊急事態だったので物流部が全社的にリカバリーの進捗を毎日発信していた。

このほかにも中国は10月にも国慶節(建国記念日)で春節と同じくらいの大型休暇になるし、初夏には濃霧で港湾での業務がストップしやすい。要するに中国はリスクが大きい。(笑)

 

海外との貿易をやっているときは一事が万事こんな感じでトラブルが空から降ってくる。無事に荷物が着いた後も不良があればクレーム対応で客先に飛んで行くし、サプライヤーに再発防止策を書かせて日本語に訳してワードで仰々しく体裁を整えるし、それでもダメならシップバック(運んできた貨物をそのまま船で送り返す)したり。

シップバックはだれも得しないので欠点はあるけれども何とか量産に使ってもらう可能性を探ったり、スペックがマッチすれば他の顧客に売ったりする。

 

せっかく作った品物に文句をつけるのは誰もが気が引ける。だからこそ代わりに交渉の矢面に立ってくれる商社にメーカーはマージンを払うのだと思うと、理不尽な仕事の中にもやりがいは見つけられなくもない。