かもがわ総研

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外資系企業の日本法人の実態について調べてみた

kamogawaudrbrdg.hatenablog.com

 

先の投稿では外資系企業の日本法人の記事を書いてみた。そのついでに日本の外資系企業全体の状況についてはどうなっているんだろうとふと興味が湧いたので調べてみることにした。

調べればいろいろと便利なものが出てくるもので、経済産業省が日本国内にある外資系企業の統計を取ってくれている。最新のものが2016年度のものなのでいささか情報が古い感が否めないが、これで見てみることにしよう。

平成29年外資系企業動向調査

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/gaisikei/result/result_51/pdf/2017gaikyo.pdf

日本に進出している外資系企業は全部でおよそ3200社あり、地域別でもっとも多いのはヨーロッパ企業で1400社(約44%)ほどを占める。ヨーロッパは地域なので国別で比較すればアメリカが約770社でトップになる。

中国企業も全アジア企業826社のうち316社で38%を占めており、意外なほど多かった。百度やファーウェイなどは容易に想像がつくが、あとはどんな企業が続くのだろうか。

 

外資系企業の業種について

 

業種別で言うと、製造業はわずかに562社で20%に過ぎない。考えてみればこれも当然かもしれない。

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銀座や心斎橋に行けばヨーロッパのラグジュアリーブランドがズラリと並んでいるし、日本人はグッチ、ルイヴィトン、オメガ、ベルルッティディオール、コーチなどの欧州のブランド品が大好きだ。数えだしたらキリがない。

 

日本法人の所在地

 

日本法人の所在地として多かったのはもちろん東京都アメリカや中国と異なり、日本は何でも首都東京に集まっている構造になっている。アメリカでは金融はニューヨーク州に、ITならカリフォルニア州に、自動車産業ならミシガン州、政治が動くのはワシントンと分散している。

中国でも、北京は政治とハイテク系スタートアップ、上海は金融業、深圳は製造系スタートアップと貿易というふうに全土にバラけているのが特徴だ。ECのガリバーであるアリババは浙江省杭州に本社を構えている。

翻って日本では、東京にオフィスを構える会社が3217社中2167社で67%にのぼる。文字通り一極集中といった形だ。

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六本木:アップル、ナイキ、ゴールドマンサックス、マッキンゼーなど。コンシューマー向けを中心に知名度が抜群の企業が六本木ヒルズを中心に入居している。

渋谷:グーグル、コカ・コーラ、ロバートボッシュなど。流行の発信地、日本のテック系企業の集積地であるためか。

丸の内ボーイングPwCベライゾンBMWJPモルガンなど若干お堅めの企業群の印象。そのほかベイカー&マッケンジーなどの外資系法律事務所もほとんどすべてが丸の内か六本木に集中している。事務所の格が仕事に影響する証左だ。

赤坂:GE、グラクソスミスクラインシスコシステムズシマンテック、APモラーマースク、ローランドベルガーなど。洗練された企業という印象。

青山テスラモーターズ、オラクル、ネットフリックスなど。赤坂よりもスマートな企業という感じ。

大崎スターバックス、ABB、シーメンス、インフィニオンテクノロジーズ、プーマ、ダッソーシステムズなど。伝統ある大企業とおしゃれな企業が併存している。

品川マイクロソフト、3M、エクソンモービル、フィリップス、ASML、メルセデスベンツ天王洲アイル)、ヘンケルなど。大崎と同じような企業群。

虎ノ門:ウォルトディズニー、ポルシェ、ノバルティスファーマインターコンチネンタルホテルなど。キラキラ企業の極み。ハイソすぎる。

神奈川県:都心や空港、新幹線へのアクセスが優れている横浜のオフィスビルに入っている企業が多い。アディエント、ZF、コンチネンタル、シェフラー、オートリブなど自動車関連企業が多い。

関西:その下に大阪や兵庫が入ってくる。大阪にはアストラゼネカ、イーライリリー、バイエルなど製薬企業が多く、兵庫にはネスレ、P&Gの神戸本社があるのは有名だ。

 

日本法人を持つメリットについて 

 

日本法人を構えるメリットについての調査もある。所得水準が高く顧客ボリュームが大きいこと、インフラが整っていること、製品とサービスの流行に敏感であり新製品の競争力の検証ができること、がトップ3となっている。

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一方でデメリットも

 

反対に日本におけるビジネス阻害要因としては、ビジネスコストの高さ、人材確保の難しさ、日本市場の閉鎖性が挙げられた。

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ビジネスコストについては人件費が高いらしいというのは意外だ。日本はバブル崩壊後賃金はまったく上がっていないので。あとは英語をビジネスレベルで話せる人材は確かに少なそう。市場の閉鎖性は世界のどこにでもあるものだと思うけれど。

 

一般的な傾向として、アメリカ系企業はガシガシ仕事して年収も高く、欧州系企業は年収はなだらかだがワークライフバランスは安定しているというところだ。

また、デルなど日本でもたくさんの人を雇用している企業はオペレーションも日本企業っぽくなっているので外資に入ったはいいものの内実は日本企業とあまり変わらないという可能性もなくはない。

上記に挙げたのは大手企業だけなので日本に進出している中小規模、新興企業も数多い。

立ち上げ期の日本法人にジョインできれば組織が大きくなっていくのを肌で感じながら働くことができるし、大企業に入ったとしても日本で圧倒的なシェアを握っている競合がいて後発スタートで泥臭い営業をしなければならない場合もある。

いずれの場合にしても日本法人の従業員に求められているのは本社の人間にはできないザ日本人的な人間関係に入り込んでいくということには変わりはない。