米中貿易戦争の真の勝者はベトナムかも?
【対中関税第4弾の詳細発表 米】https://t.co/tvIOOh8Az7
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) 2019年5月13日
米通商代表部は13日、中国からの輸入品を対象とした追加関税の「第4弾」の詳細を発表した。3805品目の総額約33兆円に対し、最大25%の上乗せを検討する。
アメリカと中国、バチバチにやり合っています。経緯としては以下がわかりやすいです。
米中貿易交渉が行き詰まった背景(超省略バージョン)
— エミン ユルマズ (JACK) (@yurumazu) 2019年5月13日
米国 → 知的財産権を守れ、技術移転の強要と政府補助金をやめろ
中国 → わかった。やるから関税なくしてくれ
米国 → 早速法律を変えてくれ
中国 → それはできない。約束は守るから信じてくれ
米国 → そんな訳に行いくか。バカにしているのか
そこから両者違いに報復関税をかけあうという展開になっています。
トランプさんが激怒しているのはもうすぐ大統領としての任期が迫ってきているためだと思います。もちろん選挙で勝てば二期目も国を率いることが可能ですが、トランプ大統領は毀誉褒貶の激しい人なので二期目は阻止しようという動きがあるかもしれません。
中国がちんたらと時間稼ぎをやっているのは、共産党は一党支配なので選挙を考えなくていいので長期戦を戦うことができるという要因があります。
北京オリンピック直前にミサイルで雨雲を吹き飛ばして無理やり晴れにしたり、G20の会合の前には杭州の多くの工場を稼働停止にして大気汚染を緩和したりすることができるので、
これだけ重い関税を課されても、大統領選でトランプさんが負けるまでなら我慢することができるのではないでしょうか。
米中の貿易摩擦が顕著になってから日本の製造業の脱中国の動きは加速していますが、そもそもそれ以前からも東南アジアに拠点を移す動きはありました。
それが今回の貿易戦争でさらに日本企業が中国から出ていくのかなと思っています。
で、問題は中国から出てきた日本企業はどこにいくのかということですが、東南アジア、とりわけベトナムに向かうのではと思っています。
その理由を説明する前に、まず貿易協定の見てみましょう。
RCEPは、あまり機能しなくなったWTOに代わり新たな貿易協定をいうことで現在も協議中の枠組みです。中国やインドも参加しており域内のGDPのボリュームが巨大ですが、利害関係も大きくなり交渉は一筋縄には進まないとみられます。
一方、参加国はRCEPに比較するとやや少なくなりますが、2016年に発効したTPPがあります。土壇場でアメリカが離脱してしまいましたが、成長著しい東南アジア諸国やメキシコ、カナダ、オーストラリアといった国も含まれているのが特徴です。
TPPの参加国は関税を一律に撤廃することになっており、参加していない国よりも貿易で価格競争力が出ます。ベトナムはTPP参加国の中ではもっとも人件費が安い部類に入り、なおかつ数年前から外資の参入を緩和してきているので、ベトナムで作れば安く日本に持ってくることができるわけです。
実際にこれまで中国で生産を行なっていた企業が拠点を移す動きが具体化してきています。
例えば自動車用ワイヤーハーネス大手の住友電工は関税が25%になると25億円のコスト増なるとして、昨年からベトナム、フィリピン、メキシコへの移管を進めています。
中国企業もすでにベトナムへ一旦運んでからアメリカへ輸出する迂回輸出も進めているようです。ベトナムは中国と国境を接しており、首都ハノイは中越国境からほど近いところに位置しています。
このようにして日本企業も中国企業もベトナムに押し寄せてくることでベトナムは輸出を増やせる大チャンスが転がり込んできているわけです。
生産や調達のサプライチェーンが変われば、物流業界には断然追い風です。これまで確立していた仕入先や船便をまた検討しなければならないからです。
唯一懸念すべき点としては、日本国内の物流が逼迫してきているので、物量が増えたとしても港や配送会社がそれを捌き切れるかどうかというところでしょうね。
今のベトナムをみていると、1950年に起こった朝鮮戦争で大きな恩恵を得た日本と重なります。これからベトナムは大きく飛躍するかもしれません。