中国のトレンドの変遷の早さについて
須黒清華です。
— WBS(ワールドビジネスサテライト) (@wbs_tvtokyo) 2019年2月11日
中国の旧正月、春節が昨日で終わりました。
数年前に話題となった爆買いですが、その消費行動は少し変化してきているようです。現場を取材しました。
今夜11時からテレビ東京系列で放送の #WBS でお伝えします! pic.twitter.com/LfP8uxQpCt
ワールドビジネスサテライトの今日の特集。
春節の爆買いを追跡するということで、本ツイートのリプ欄では「いつの話してんねん」と突っ込まれていましたが、普段から中国に業務で関わっていない限りは一般の人は知る由もないのかなと思っています。
しかし、2015年ごろに全盛を誇ったラオックス銀座店が昨年8月にひっそりと閉店していたというニュースを見るまでもなく、中国人が日本に来て百貨店などのリアル店舗でモノを購入する数量は年々減少してきているというのが現状です。
その背景にあるのは越境ECです。越境ECというのはインターネット通販のインターナショナル版のことです。越境ECの登場によってわざわざ日本に来なくとも中国にいながら日本製品が売れるようになったからです。
日本に来て両手に持ちきれないほどの荷物抱えて街中を歩き回るのは大変なことは容易に想像がつきます。中国にいながら買えるようになるのであれば中国の消費者はそちらを選択するでしょう。
とはいえ、やっぱり日本で買ったものが信用できるという人も少なくないので、あくまでも日本の店舗で買いたいという意見も根強い。そこで近年は自分の分だけでなく、他人の分の買い物も代行してあげるというビジネス(代購)が普及してきます。日本に滞在している中国人留学生の貴重な収入源になったそうです。
中国人一人が友人など数人分の買い物を兼ねているため、化粧品などを販売する日本の百貨店の売上は彼らの購買意欲によって支えられてきました。
ところが、この状況をおもしろく見ていない人がいます。中国政府です。代購はかなりの規模の経済を動かしているにも関わらず、バイヤーの多くはハンドキャリー(かばんに詰め込む)で持ち込むため関税を課されることなく持ち帰ることができました。だからこそ安く買えてかつ代購者の利益も捻出できるのです。
翻って中国政府は人民がこれだけの物品を海外で購入し、国内に持ち帰ってきているのになんら税金を徴収することができずにいました。
そこで、ついにと言うべきか、中国政府は2019年1月1日から中国EC法を改正し、インターネットを活用して商品を販売する全ての者を対象に、営業許可の取得を義務付けたり、納税義務を課すという法律を施行しました。この法律は代購業者に大打撃となるという予想がされていましたが、果たしてどのような影響が出るのでしょうか。
今年の春節はこのEC法が始まってから最初の大きなイベントということで試金石のような位置付けになっています。大方の予想通り、インバウンドでの売上は大幅に下落していました。旅行者数は伸びており、旅行者は自身の買い物はするでしょうが、以前までは他人の分まで買い物をしていたのですから販売数量が落ちるのは当然のことです。
では日本企業はこのままインバウンド経済が縮小していくのを指を加えて見ているしかないのでしょうか?日本企業の中にはすでに越境ECに取り組んでいます。もともと化粧品や美容系の商品は、同じアジア人ということで肌に馴染みやすいという、欧米のブランドにはない利点があり、品質の高さのイメージもあいまってとても人気があります。インバウンドで売れなくとも越境ECで売れるのであれば、ぼくはむしろその方が日本企業にとってはメリットは大きいと思います。
その理由としては、単純に店舗を拡大する必要がないこと、また店舗に中国人対応のための人員を配置する必要もなくなることがあります。越境ECの場合では、商品はあらかじめコンテナで大量に保税倉庫まで送っておき、アリババやJDなどのプラットフォームの売場の中に中国語のサイトを作って売れれば倉庫から配送するだけです。
消費者はウェブサイトを見て買うようになるだけなので、コストを抑えながら売上を伸ばすことができるようになるでしょう。その分売れるためのマーケティングが重要になってきます。
商品の上手なアピールというと、日本企業は苦手なイメージがあり、欧米のラグジュアリーブランドや同じアジアの隣国である韓国などと競争していけるかというところです。
また近年は、もっと心配な懸念が頭をもたげてきているようですが。
これまで日本ならではの高品質なトイレタリー・日用品のメーカーとして最大手企業として君臨している花王の中国での業績が伸び悩んでいます。
花王の主力商品の一つである紙おむつメリーズのシェアが中国の地場のメーカーの商品に追いつかれてきているのです。それだけ中国企業の技術力が上がってきているという証拠ですね。
実は衛生面については同じアジア人である日本人と中国人の間でも隔たりがあると思っていて、例えば中国人はハンカチは不衛生だと思っていてあまり使いたがりません。代わりに何を使うかと言うと、使い捨ての紙タオルのようなものを携帯しています。
これだけに限らず、朝洗顔したあと顔を拭くのも紙タオル(正確には不織布というのですが)を使用しており、一度タオルは使わないのですか?と中国人のエージェントに聞いたことがありますが、不潔ですし、洗濯する手間も省けて便利じゃないですかとのこと。
子供の数も多くおしりふきの消費量も非常に多いので、中国には不織布の製造機械がイケイケドンドンで設備されています。たくさん作っていればコストも下がりますし、ノウハウもおのずと蓄積されていきます。
こうなるとおそらく日本のメーカーはさらに技術開発に注力して中国を引き離そうなどと考えるかもしれませんが、それは良い手段ではないかもしれません。技術では遅かれ早かれ追いつかれてしまいます。産業に携わっている人数が違いますから。スペックを必要以上に上げていっても消費者には響きません。
それよりはこれまでになかった用途、ニーズを満たす商品づくりをしていくべきではと思います。
台湾祭へ行ってきたけどスポンサーの意向が強すぎて笑った
2/9-2/11まで東京タワーの広場で開催されていた台湾祭へ行ってきた。
ぼくは二日目に行ってきたけど、初日がこの冬一番くらい寒さになって雪もたくさん降っていたので、初日に訪れる予定だった人たちも二日目にスライドしたのか入場からすごい列ができていて、会場入りするのに1時間待たされた。
入場待ちしている間もうめちゃくちゃに寒かったんだけど、小籠包とか牛肉麺が食べられると思えばなんとか耐えることができた。
入場料として500円払うとドリンク3杯無料、フードが6回まで100円引きになるクーポンを渡されて会場イン。
牛肉麺、葱油餅とか湯圓はほんとうにおいしくて台湾で過ごした日々を思い出させてくれる味ですごくよかったんだけれど、
運営の仕方が下手だなあと思ってしまった。。料理が本当に美味しかっただけに余計に際立ってしまった。
まずそもそも会場が狭かった。東京タワーの駐車場を借り切っているんだけど、来場者数の方が断然多い。
これは運営側も会場を決める段階でここまで人が来るとは思っていなかったんだろうね。人の多さにはぼくも驚いたのでこれについては仕方ないけれど。
第二に、フードを食べるスペースが全然なかったこと。よく外国のフェスが開催されている代々木公園の場合だと、ベンチとテーブルが設置される。もちろん来場者全員分は用意しきれないけど、空くのを待っていればそのうち座って食べることができる。
それができなければピクニックのような感じで座って食べることができる用意もできたと思うけど、会場にはそれも見られなかった。
結果、来場者は立ったまま食べざるを得ず、湯圓などの汁物は大変不便だ。何か対策できたのかなーと思えてしょうがない。
第三に、決済方法が現金払いオンリーだったこと。正直面倒臭いだけだと思うんだけど。。注文のたびに数百円もらって千円出されたらまた数百円おつり出してという作業を延々と繰り返すのって。現金って衛生的にも悪いしね。
お店のスタッフは支払いと料理のスタッフを分けることで対策していたけど、QRコード決済にしたらそのスタッフも料理する方に回れたのになーって思う。
日本ならLINE PAYやPAYPAYがあるし、カードリーダーとか付帯設備がいらないのがQRコード決済のメリットだったはずだ。本来的にはこういう台湾祭とかコミケとかいう場でこそ威力を発揮するものだと思っている。次回開催からはもっと工夫してもらえたらと期待している。
最後に、一番許せなかったことはフリードリンクとして提供されていたビールがキリンビールしか選べなかったこと!笑
いや、笑いごとではない。台湾のお祭りに来ているのにも関わらず台湾ビールがないってどういうことやねんと思って調べてみたら、案の定協賛企業にキリンの文字。あーあって感じでした。企業の都合ゴリ押しやないかい。
そのほかにも舞台ではアイドルがパフォーマンスをしていたのだけど、どれも日本のアイドルばかりだった。台湾祭の趣旨とは?という感じだった。
※追記:二日目の午後はたまたま日本人のパフォーマンスが多い時間帯だった模様でした。訂正します。
台湾はぼくが中国語を初めてみっちり学んだ場所でもあり、個人的にも大好きだけれど、台湾祭の運営がこのていたらくでは次はもう行く気になれないかもしれない。
改善してくれればいいな。
外資系企業の日本法人の実態について調べてみた
kamogawaudrbrdg.hatenablog.com
先の投稿では外資系企業の日本法人の記事を書いてみた。そのついでに日本の外資系企業全体の状況についてはどうなっているんだろうとふと興味が湧いたので調べてみることにした。
調べればいろいろと便利なものが出てくるもので、経済産業省が日本国内にある外資系企業の統計を取ってくれている。最新のものが2016年度のものなのでいささか情報が古い感が否めないが、これで見てみることにしよう。
平成29年外資系企業動向調査
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/gaisikei/result/result_51/pdf/2017gaikyo.pdf
日本に進出している外資系企業は全部でおよそ3200社あり、地域別でもっとも多いのはヨーロッパ企業で1400社(約44%)ほどを占める。ヨーロッパは地域なので国別で比較すればアメリカが約770社でトップになる。
中国企業も全アジア企業826社のうち316社で38%を占めており、意外なほど多かった。百度やファーウェイなどは容易に想像がつくが、あとはどんな企業が続くのだろうか。
外資系企業の業種について
業種別で言うと、製造業はわずかに562社で20%に過ぎない。考えてみればこれも当然かもしれない。
銀座や心斎橋に行けばヨーロッパのラグジュアリーブランドがズラリと並んでいるし、日本人はグッチ、ルイヴィトン、オメガ、ベルルッティ、ディオール、コーチなどの欧州のブランド品が大好きだ。数えだしたらキリがない。
日本法人の所在地
日本法人の所在地として多かったのはもちろん東京都。アメリカや中国と異なり、日本は何でも首都東京に集まっている構造になっている。アメリカでは金融はニューヨーク州に、ITならカリフォルニア州に、自動車産業ならミシガン州、政治が動くのはワシントンと分散している。
中国でも、北京は政治とハイテク系スタートアップ、上海は金融業、深圳は製造系スタートアップと貿易というふうに全土にバラけているのが特徴だ。ECのガリバーであるアリババは浙江省杭州に本社を構えている。
翻って日本では、東京にオフィスを構える会社が3217社中2167社で67%にのぼる。文字通り一極集中といった形だ。
六本木:アップル、ナイキ、ゴールドマンサックス、マッキンゼーなど。コンシューマー向けを中心に知名度が抜群の企業が六本木ヒルズを中心に入居している。
渋谷:グーグル、コカ・コーラ、ロバートボッシュなど。流行の発信地、日本のテック系企業の集積地であるためか。
丸の内:ボーイング、PwC、ベライゾン、BMW、JPモルガンなど若干お堅めの企業群の印象。そのほかベイカー&マッケンジーなどの外資系法律事務所もほとんどすべてが丸の内か六本木に集中している。事務所の格が仕事に影響する証左だ。
赤坂:GE、グラクソスミスクライン、シスコシステムズ、シマンテック、APモラーマースク、ローランドベルガーなど。洗練された企業という印象。
青山:テスラモーターズ、オラクル、ネットフリックスなど。赤坂よりもスマートな企業という感じ。
大崎:スターバックス、ABB、シーメンス、インフィニオンテクノロジーズ、プーマ、ダッソーシステムズなど。伝統ある大企業とおしゃれな企業が併存している。
品川:マイクロソフト、3M、エクソンモービル、フィリップス、ASML、メルセデスベンツ(天王洲アイル)、ヘンケルなど。大崎と同じような企業群。
虎ノ門:ウォルトディズニー、ポルシェ、ノバルティスファーマ、インターコンチネンタルホテルなど。キラキラ企業の極み。ハイソすぎる。
神奈川県:都心や空港、新幹線へのアクセスが優れている横浜のオフィスビルに入っている企業が多い。アディエント、ZF、コンチネンタル、シェフラー、オートリブなど自動車関連企業が多い。
関西:その下に大阪や兵庫が入ってくる。大阪にはアストラゼネカ、イーライリリー、バイエルなど製薬企業が多く、兵庫にはネスレ、P&Gの神戸本社があるのは有名だ。
日本法人を持つメリットについて
日本法人を構えるメリットについての調査もある。所得水準が高く顧客ボリュームが大きいこと、インフラが整っていること、製品とサービスの流行に敏感であり新製品の競争力の検証ができること、がトップ3となっている。
一方でデメリットも
反対に日本におけるビジネス阻害要因としては、ビジネスコストの高さ、人材確保の難しさ、日本市場の閉鎖性が挙げられた。
ビジネスコストについては人件費が高いらしいというのは意外だ。日本はバブル崩壊後賃金はまったく上がっていないので。あとは英語をビジネスレベルで話せる人材は確かに少なそう。市場の閉鎖性は世界のどこにでもあるものだと思うけれど。
一般的な傾向として、アメリカ系企業はガシガシ仕事して年収も高く、欧州系企業は年収はなだらかだがワークライフバランスは安定しているというところだ。
また、デルなど日本でもたくさんの人を雇用している企業はオペレーションも日本企業っぽくなっているので外資に入ったはいいものの内実は日本企業とあまり変わらないという可能性もなくはない。
上記に挙げたのは大手企業だけなので日本に進出している中小規模、新興企業も数多い。
立ち上げ期の日本法人にジョインできれば組織が大きくなっていくのを肌で感じながら働くことができるし、大企業に入ったとしても日本で圧倒的なシェアを握っている競合がいて後発スタートで泥臭い営業をしなければならない場合もある。
いずれの場合にしても日本法人の従業員に求められているのは本社の人間にはできないザ日本人的な人間関係に入り込んでいくということには変わりはない。
外資系企業の日本法人で求められる役割について
とある外資系メーカーの日本法人の面接を受けてきた。
それなりに名の知れた企業であるため、 事業内容はけっこう入念に下調べをしていった。
そして身だしなみを重視されるということだったので、 前日に髪も切ったしスラックスもクリーニングに出しておいた 。
日系と外資両方の面接を受けていておもしろいなと思うのは、 日系の面接が「尋問」のように進んでいくのに対して、外資だと「雑談」のような雰囲気になることだ。
入社したあとにこんなはずではなかった、となるのは企業にとっても応募者にとっても不幸になるだけなので 、面接は企業の考え方を知ってもらうことを目的にしているとのこと。
そのためざっくばらんに給料や競合他社との状況など、採用の背景などガンガン聞かせてもらえた。
面接をしてくれたマネージャーの方はかなり頭が切れそうな印象を受けた。商社にも高学歴な方はたくさんいるが、理系の賢さに触れる機会はなかなかない。
よくいる博覧強記だけれどもコミュニケーションが苦手なタイプではなく、対人折衝能力も極めて高いオールラウンドな人だった。
高学歴な人に共通する(ように思われる)性質として、
・「帯に短し襷に長し」や「さもありなん」といったことわざや古語を会話に織り交ぜる。
・自分と異なるタイプの人間と話してもありのまま受け入れる(≒ 素直)
・クッション言葉を多用(「少し意地悪な聞き方をしますが、」「おっしゃることは理解しますが」「 少し質問を変えますが」など)
という点があるように思う。わりと話し方で違いが分かる。
普段関西弁コテコテの体育会系組織で揉まれている自分にとっては こちらのほうが居心地が圧倒的に良い。こんな上司がほしいと思った。
前置きはこれくらいにして、 途中から外資系企業の日本法人についての認識の話になった。
入社後にどのようなビジョンを持っているかという質問はどの会社 であってもほぼ100%の確率で聞かれるため事前に大枠くらいは 用意していたので、それを組み合わせて次のように答えた。
「日本市場での先兵として、シェアを高めるため日本の顧客のニーズを汲み取り本社へ積極的に 発信していく。 そして日本市場ならではの要望や事例をまとめ本社にとっての日本 法人のプレゼンスを高めていく。」
しかしこの回答は頭の切れる面接官には不満だったようだ。「 弊社内でもそういうマインドの方は多いんですけどね~」と前置きして、質問を重ねてきた。
「弊社内でも昔日本企業とジョイントベンチャー(合弁企業)を作って、双方の製品モジュールを組み合わせることであらゆる顧客の要望に 応えられる仕組みを整えたことがありました。 これは営業サイドからのかねてからの要望でもあったので。
果たしてこの合弁会社がスタートしたあと当社製品の売上はどうなったと思いますか?」
ぼくは答えに窮した。 今言ったばかりの日本法人の役割に一貫性を持たせるならば売上は 伸びたと答えるほかないからだ。
答えは案の定「売上は思ったほど伸びなかった」。
この失敗はマーケティングの面でも重要な示唆を与えてくれる。顧客の要望に応えたからと言って必ずしも受注に結び付くとは限らないからだ。
恋愛でも自分勝手なオラオラ系男がモテるのも同じ原理なのだろうか。いや、ちがうか。
ぼくは頭をフル回転させても何故そうなるのか分からなかった。そしてその合弁会社は数年前にひっそりと解散し社員はそれぞれの会社に戻っていった。
それを踏まえて、面接官が考える日本法人の役割というのはこうだ。「本社で作るグローバルスタンダードの製品を、なんとかしてそのまま日本の顧客に使ってもらうこと。
顧客の要望に合わせていちいち品番を増やしていてはそれだけ生産ラインを増やさなければならずコストが上がりキリがない。本社は各国から上がってくる要望などには耳を貸さない。
そうした制約の下で大手企業からシェアを奪っていかなければならないんです。」
結果的にぼくは面接官の考えと真逆の意見を述べてしまったわけだが、不思議とそれほど焦らなかった。
清々しいほどに間違えてしまい、そのことを理路整然と説明してもらえたので、もう取り繕う気にもなれなかった。
ここの会社は落とされるだろうが、後悔はしない。むしろこの経験を次に生かしていきたいと思った。
世界は広い。
日本法人の役割まとめ
・最重要ミッションは日本市場でのシェア拡大
・ただし本社は個別の要望には応えてくれない→ 生産コストが上がるから
・顧客からの要望に応えても受注とはならない
・ 日本法人は顧客からの要望に対してスペックを変えずになんとか応 える方法を考える
これ、ほぼ商社やん。笑
※ただし上記の内容は必ずしもすべての外資日本法人に当てはまらない。製造業だからそうなるのであって、徹頭徹尾顧客の要望に寄り添うことが最適解になる産業もあるもしれないことを付け加えておきたい。
貿易の仕事の中身はほぼトラブルシューティング
北米の寒波のせいで絶賛船遅れてて、対応にてんやわんや状態です。
北米地域で記録的な寒波が来ている影響で物流に遅延が発生している。体感-53度とからしい、昨年末に中国天津で-10度を体感してきたけど、まったく想像がつかない。息できるのかな。
イリノイ州シカゴでは寒波からホームレスを守るべく自費でホテルを予約する有志ボランティアが賞賛を受けた報道などもあり、心がほっとするニュースも見られた一方で、異常気象となるとやっぱり真っ先に貨物の動きの心配をしてしまう。
北米の寒波に限らず、異常気象は世界各地で常態化している。季節が反対のオーストラリアでは熱波に襲われているらしく、46度まで気温が上がっていて、高すぎる気温による森林火災も発生している。オーストラリアからアメリカまで移動したら差引で100度近くもの気温差に晒されることになるので、ショック死してしまうんじゃないかな。
船を使う貿易が受ける影響は天候に限らなくて、例えば今なら中国が春節休暇に入っているので、その間はほとんどすべての中国の取引先と連絡が取れなくなる(みんな故郷に帰ってしまうので)し、中国から輸入している日本企業の場合だと休暇に入る前にたくさん買っておこうと考えるので、春節前の東京港は大混雑するのが毎年恒例の風物詩だ。
貨物は東京港まで来るには来るが、コンテナドレーというコンテナを引っ張るトラックが不足しており、港まで来ているのにも関わらずなかなかコンテナを取り出せなくなっている。その結果顧客の希望する納期に間に合わないという事態がそこかしこで起きている。
また昨年の夏には記録的な豪雨が西日本を襲ったことは覚えている方も多いと思うけど、それによって関西の物流の要となる関西国際空港が浸水し、さらにコントロールを失ったタンカーが関西空港と陸地を繋ぐ連絡橋に衝突し、一時的にほとんどの物流が麻痺した。
しばらくしてやや回復したが、そのわずかなキャパシティは生鮮食料品や医薬品など緊急度の高い貨物に優先的に割かれてしまい、産業資材などは普通に後回しにされた。そこからさらに行き場を失った貨物は中部国際空港や成田空港に回るので、関空での事故なのに日本中の空港が影響を受けることになった。このころは本当に緊急事態だったので物流部が全社的にリカバリーの進捗を毎日発信していた。
このほかにも中国は10月にも国慶節(建国記念日)で春節と同じくらいの大型休暇になるし、初夏には濃霧で港湾での業務がストップしやすい。要するに中国はリスクが大きい。(笑)
海外との貿易をやっているときは一事が万事こんな感じでトラブルが空から降ってくる。無事に荷物が着いた後も不良があればクレーム対応で客先に飛んで行くし、サプライヤーに再発防止策を書かせて日本語に訳してワードで仰々しく体裁を整えるし、それでもダメならシップバック(運んできた貨物をそのまま船で送り返す)したり。
シップバックはだれも得しないので欠点はあるけれども何とか量産に使ってもらう可能性を探ったり、スペックがマッチすれば他の顧客に売ったりする。
せっかく作った品物に文句をつけるのは誰もが気が引ける。だからこそ代わりに交渉の矢面に立ってくれる商社にメーカーはマージンを払うのだと思うと、理不尽な仕事の中にもやりがいは見つけられなくもない。
台湾の友達が東京に転職してきた話
先日台湾人の友達と食事に行った。
三年前に会社の同僚と年越しイベントに参加するため台湾に行ったときに、行きのフライトの中で隣に座っていたのがその友達だった。
道中ですっかり意気投合し、台湾に着いてからも一緒に热炒で飲みに行ったりした。それ以来日本でも何度も会っている。
自分でもなかなかない出会い方だとは思っている。
彼女は台湾の名門大学にいた頃に日本に交換留学で宮崎というド田舎で過ごした。当初は早稲田に行きたかったらしいが、住めば都というものでだんだんと愛着がわいて好きになったそうだ。
卒業後は日本で仕事を探して留学していたド田舎のベンチャーで仕事を見つけた。留学の思い出がたくさん詰まった場所へ戻れることから高揚感はあった。
しかしぼくの狭い経験から言わせてもらうと日本の地方でまともなキャリアを積めるとは思えない。
彼女が就いたのはEC関係の仕事で、唯一貿易実務の知識もあったことから物流に関わる仕事が彼女に集中し恒常的にタスクに追われる毎日。残業代も出ないうえに休日出勤もザラにあったという。
そんな生活から脱却するべく東京で転職活動を始めていて、早くもベンチャー的なところから内定はもらったそうだけど、
大学の他の同期たちは日産自動車や航空会社でCAをしているのに比べたら自分が惨めに見えると言ってて、聞いてる方も辛かった。
台湾のような半導体くらいしか主要な産業がないところでは、慢性的に仕事がない。日本でもそうだけど半導体産業はほとんど博打だ。
だからなのか、台湾では驚くほど海外留学が一般的になっている。日本の人気も昔から高い。しかし日本に留学したからといって無条件に将来も仕事に困らないということにはならないということをぼくの友達のケースが教えてくれる。
留学したひとの間でも卒業後に就いた仕事で収入は大きく差がつくし、留学中に日本に馴染めない人もいるそうだ。
早稲田のような都心のマンモス大学だと留学生の数が多すぎて台湾の人同士でつるんでしまいがちなのと、留学生と交流したい日本人のお目当てが欧米から来た白人ばかりなのにがっかりするんだそう。京都でも同じことが起こっていたので否定することができず申し訳なく思う。
一方、宮崎のような地方の大学だとそもそも留学生というものが珍しいので日本人の方からワラワラ寄ってくるので友達作りには苦労しなかったそうだ。
ぼくの友達は早稲田に行けなくてたいそう落ち込んだそうだが、今では宮崎が大好きになっているので、人生ほんとうに何が起こるかわからない。人生塞翁が馬ということだ。
ちなみに余談ながら、彼女のお姉さんはアリババの杭州本社で働いていて、伸び盛りの企業はやはり激務らしい。辞めたい辞めたいと言っているのだが、昨年通信機器大手のファーウェイからアリババに転職してきた同僚が、「アリババめっちゃホワイトですごい」と言ってて驚愕したという話を聞いて笑ってしまった。ウェーウェイどんだけハードワークなんだろうね。
京都にシェアサイクルができてた話
先日京都へ行ってきたときに、 三条京阪駅ヨコにシェアサイクルのスタンドを見かけた。
シェアサイクルというと懐かしい思いがする。数年前まで中国で爆発的な人気があり、 大手企業から出資を受けた新興企業二社が激しいシェア争いをして いた。
二年前にぼくが中国へ銀行口座を開設しにいったときは赤色のモバイクと黄色のofoの自転車が街中のそこかしこに溢れていた。
スマホで支払い、開錠して、乗り捨てを繰り返して41度の灼熱の 日中で銀行の支店を求めて走り回っていたのはいい思い出。
中国では早くもブームは過ぎつつあるけれど、ついに日本でもシェアサイクルの会社が出てきたんだなと嬉しかった。運営会社はオーシャンブルースマートという会社で日本の会社だった。
小竹社長は高校で上海に、大学時代にアメリカに中学していてそこでの経験が考え方に影響を与えたとのこと。大学卒業後二社目で父親が社長を務める会社で勤務している。
父親の会社というのが、カイホウジャパンという車載機器の卸売業。今の社長は中国人みたい。
親が経営者だから小竹社長も起業を考えていたのかな。蛙の子は蛙ということか。
ぶっちゃけシェアサイクルは中国の後追いになってしまっていて、二番煎じの感が否めないけれど、京都にはシェアサイクルが受け入れられやすい市場環境はあると思っている。
京都は日本全国の都市の中でも訪日観光客の増加の恩恵を最も享受している部類に入るが、観光客の増加にインフラ整備が追いついていない。
市民の足である市バスなんかは観光客と住民で取り合いになっているくらいだ。
また目抜き通りである四条通では1車線を削って歩行者用の通路にしてしまったので、 四条河原町付近での車移動は絶望的な状態だ。
新幹線の時間が迫ってきたからと言ってタクシーに乗れば余計に間に合わないのだ。
地下鉄が混雑しているのは言うまでもない。
シェアサイクルはここにチャンスがあると思っている。公共交通機関がアテにならないので代替手段としてすんなりと受け 入れられると思う。
京都は街全体が非常にコンパクトに設計されているのが特徴だ。
ぼくが学生だった頃も大学の授業、バイト、河原町での飲み会、大阪市内に出るための阪急とJRの駅も、 嵐山も清水寺もすべて自転車でアクセスできるのがとても便利だった。
金閣寺から四条河原町まで30分もかからない。バスだと45 分くらいかかるだろう。
公共交通機関での移動と異なり、自転車での移動は路線などにほとんど縛られないので、気の向くままに自由に色々な場所を訪れることができるのがメリットだ。
例えば市内にたくさんある寺社巡りをしたい場合や、 劇場版コナンの聖地巡礼をしたい場合など、行くべきところが散らばっている場合は自転車での移動が便利だろうと思う。
反対に貴船神社で流しそうめんを食べる、 比叡山延暦寺へ初詣に行く、下賀茂神社の古本市に行く、 河原町でお買い物などはじめから目的が決まっているなら市バスや電車で全然かまわないと思う。
シェアサイクルが普及すれば、 間違いなく地下鉄の混雑や道路の渋滞は緩和する。
デメリットは雨の日に弱いことと、 京都市内は北に行くにつれて緩やかな上りの地形になっていることくらいか。傘用のグリップや電動アシストの自転車もあればウケると思う。
LINE Payとか決済手段をたくさん用意してるのはとてもいいことなので、
あとPIPPAの運営会社さんに一点提案したいのは、一人が多人数分の決済をできるようにしてもらえたらもっと便利になると思う。
利用者が一人一人アプリをDLするのは面倒だし、システム的にも実装するのは簡単でないことはぼんやり想像はつくけれど、
今から普及させていこうとするときに「 おれが支払いしとくからみんなは乗るだけでいいよ」 という使い方ができれば人気に火が付くかもしれない。