かもがわ総研

ベトナムでもがく中間管理職です。営業、マーケ、法務、採用なんでもやってます。

ベトナム人に感心させられる場合も増えてきたという話

ベトナムに来てからというもの、何かにつけてベトナム人の人となりを観察するように努めている。

日本人の常識とはあまりにかけ離れていて、最初は呆れたり、悪い意味で驚かされることのことの方が多かったが、最近になって感心することがいくつか起こっている。

一つは、ベトナムハノイホーチミン、つまり南北での違いだ。

当社のホーチミンのマネージャーはローカルの従業員があまりに休みを取り過ぎることに頭を抱えている。有休も病欠も定められた範囲内であると思うが、大事なプレゼンの前日だったり、任せた仕事がまだ全然終わっていなくてもお構いなしに休みを簡単に申請してくる。

ホーチミンの人を一言ではっきり言ってしまえば「無責任」という言葉が割と的確に描写していると思う。やはりこれはベトナムに限らず東南アジア全域で見られる特徴であったりするが。常夏の国の人は基本的にはダラダラしていて、物事をポーンと投げ出してしまうのだ。だから仕事が進まず、経済も発展しない。先進国の多くが寒い北半球に集中しているのもそのためだ。

その一方で北部のハノイでは、ホーチミンとは様相が異なる。同じ国だが縦長のベトナムではハノイは中国の雲南省や江西チワン族自治区と接しており、緯度では中国南部とほぼ同じところに位置している。

ハノイの人の人となりについてよく言われるのが責任感が強いというものだ。ぼくもこれについては概ね正しいと思っている。

ハノイのローカルスタッフとデスクを並べて一緒に仕事をしていると、その片鱗は頻繁に垣間見える。依頼した仕事の精度はギリギリ及第点というところだが、指定した〆切はキッチリ守る。

一時期、ハノイのオフィスで夏なのに風邪が流行ったときがあった。ぼくの上司が隊長が悪ければ休んでもいいからねと言っても、セールスの女の子たち休もうとしなかった。そのおかげでオフィスのぼくのデスクの島ではぼく以外の全員が風邪を引いてしまうと惨事になってしまった。

後から分かったことだが、セールスミーティングで説明する資料がまだ完成していなかったので、どうしても休むわけにいかなかったということだった。風邪の震源地となった女の子はやはりハノイ出身だったことは言うまでもない。

こうして責任感の強さが得てして悪いベクトルに働いてしまうこともありながらも、日本人とハノイの人とは比較的スムーズに仕事ができると思っている。

二つ目もハノイの人について感じたことなのだけれど、

あるマネージャーから、週末にマネージャー陣を集めて食事をしたいという誘いがあった。ぼくの上司がベトナムの前に駐在していたのがタイということでタイ料理のレストランでワイワイ盛り上がり、最後には9月が上司の誕生日ということでみんなでお祝いした。上司はプレゼントももらい、食べ慣れたタイ料理もたいそう気に入っていたようだった。

それを提案したマネージャーの部署は、いまベトナムでは新規事業で、なかなかスケールしないため早ければ来年度にも見極め、クローズが検討されているところだった。

ここから先はぼく自身の憶測でしかないという断りを入れておくと、

そのマネージャーは自分の部署を潰させないために、そのクローズの権限を握っている上司の機嫌を取っているのだと思った。

タイ料理というお店のチョイス、上司の誕生日を覚えていたこと、他部署のマネージャーも集めて自分のやっていることをこの機会にアピールしていたことなど、ベトナム人にここまで周到に準備ができて、それをほかのマネージャーを立会人にさせるほどの政治力があるんだなと思った。

部下の気持ちとしても、こんな上司にはついて行きたいだろうなと思う。ぼくもこういうマネージャーを目指さないとなと感じた。